例年、これからの時期は気温の上昇とともに熱中症による救急要請が増加します。

救急出動が増えると通報を受けてから救急車が到着するまでに時間を要することとなり、救える命が救えなくなる懸念があります。
熱中症を予防することは、ご自身だけでなく、誰かの命を救う事にも繋がります。

熱中症の怖さ・予防対策

1:熱中症の怖さ

熱中症は、高温多湿な環境などに長時間いることで、体温調節機能がうまく働かなくなり、体内に熱がこもった状態を指します。
屋外だけでなく室内で何もしていないときでも発症し、救急搬送が必要になることもあり、場合によっては死亡することもあります。

令和5年度、福島市消防本部では240名の『熱中症』とみられる方を救急搬送しております。

2:予防対策

一般的に呼びかけられている1.暑さを避ける2.こまめな水分補給3.部屋の中を涼しくすることはもちろんのこと、暑さ指数(WBGT)等を意識するとともに、暑い時間帯の行動は避けるなど最大限の予防対策をとって頂きたいと思います。

令和5年 熱中症による救急搬送統計資料

年別の救急搬送者数

福島市消防本部管内では、過去5年間に1041人の方が熱中症(疑いを含む)により救急搬送されました。令和5年の熱中症(疑いを含む)による救急搬送者数は240人で過去最高の搬送者数、令和4年と比較すると38人増加しました。

年別の救急搬送者数の表

月別の救急搬送者数

熱中症にかかるリスクからみてみると、最高気温の上昇に伴い7月から搬送者数が急増(前6月と比較すると約10倍)し、本格的な夏となる7月にピークをむかえ、身体が夏に慣れてくる8月頃から搬送者数が減少傾向にあります。
 夏が本格化する前の5月、6月上旬頃から日常的に運動する等の汗をかく習慣を身につけ、暑さに強い身体を作ることが予防対策となります。

資料中の気温等は気象庁の気象統計情報(福島市)の数値を使用しています。

月別の救急搬送者数の表

年代・年齢区分別の救急搬送者数

  • 年代別では、80代が58人と最も多く、次いで70代が45人となりました。
     熱中症にかかるリスクが高いのは、65歳以上の高齢者、次いで屋外での活動の機会が多くスポーツ時の運動強度が高い10代の若年層ということがグラフから読み取れます。
  • 年齢区分別では、65歳以上の高齢者が129人で全体の約5割を占め、そのうち約7割にあたる89人が75歳以上の後期高齢者でした。
年代・年齢区分別の救急搬送者数の棒グラフ
救急搬送者240人の年代別割合の円グラフ

熱中症の発生場所

熱中症による救急要請の発生場所は、【屋内】が90人で全体の3割以上を占めていました。
65歳以上の高齢者は【屋内】が65人で全体の50%を占め最も多く、次いで【屋外】が42人で60%、【屋外(作業)】が17人で44%を占めています。
 熱中症というと直射日光があたる屋外のイメージをもたれる方が多いかとおもいますが、決して屋内だからといって安心はできず、むしろ熱気がこもって高温多湿環境となって熱中症にかかるリスクが高まる傾向にあります。屋内ではエアコンを適切に使用するなどして予防対策をはかりましょう。

熱中症の発生場所の帯グラフ
熱中症の発生場所 全体と高齢者を分けた円グラフ

救急搬送時の初診時における程度

救急搬送された240人のうち、約3割にあたる53人が入院の必要があるとされる【中等症】以上と診断され、そのうち3人は生命の危険があるとされる【重症】と診断されています。
 また、年代別に見てみると60代以上の方が、他の年代と比較して多く【中等症】以上と診断をされており、熱中症による症状が重くなる傾向があります。

救急搬送時の初診時における程度の円グラフ
初診時における程度(年代別)の棒グラフ

救急搬送者数とWBGT値

熱中症による救急搬送者数とWBGT値の関係を見てみると、WBGT値の上昇にと比例して、救急搬送者数の増加する傾向がみられます。
 屋内、屋外関係なくWBGT値(暑さ指数)をこまめにチェックしておくことが大切になります。

熱中症による救急搬送者数とWBGT値の関係を表したグラフ

この記事に関するお問い合わせ先

消防本部 救急課
福島市天神町14番25号
電話番号:024-534-9106
ファックス:024-534-0310
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