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更新日:2024年2月13日
平成7年(1995年)に発生した阪神・淡路大震災では、地震により6,434人もの尊い命が奪われましたが、地震が直接的な原因で死亡した方の約8割が住宅・建築物の倒壊等によるものでした。また、倒壊した建築物は、避難や救援・救助活動の妨げになるなど被害の拡大を招きました。
阪神・淡路大震災以降も、新潟県中越地震(平成16年)、福岡県西方沖地震(平成17年)、能登半島地震(平成19年)、新潟県中越沖地震(平成19年)、岩手・宮城内陸地震(平成20年)など近隣県を含めて大規模な地震が頻発し、平成23年3月11日には東日本大震災が発生しました。東日本大震災では、これまでの想定をはるかに超える巨大な地震・津波により、本市においても最大震度6弱を観測するなど、建築物の全壊744棟、大規模半壊638棟、半壊4,919棟、一部損壊7,688棟と建築物の被害は1万棟を超えました。
近年においても熊本地震(平成28年)、北海道胆振東部地震、大阪北部地震(平成30年)と地震が頻繁に発生する中、令和3年2月には福島県沖地震が発生し、全壊が66棟、大規模半壊62棟、中規模半壊150棟、半壊705棟、準半壊1,824棟、一部損壊2,622棟の甚大な被害を受けることとなりました。令和3年福島県沖地震の復旧の途上、令和4年3月に最大震度6弱の非常に大きな地震に再び見舞われ、災害救助法(昭和22年法律第118号)、被災者生活再建支援法(平成10年法律第66号)の適用を受ける甚大な被害が起こりました。
このように、大規模な地震の発生により建築物が被害を受けると、その後の生活基盤が揺らぐことに加え、倒壊等により避難路(大地震発生時に円滑な通行を確保すべき道路)等を閉塞し、救援・救助活動の妨げになることから、市民の生命や財産を守り、安全で安心して生活できるまちづくりの実現のためには、建築物の耐震化や減災化による被害を軽減する対策により一層取り組む必要があります。
本市においても想定される大きな地震が発生した場合、人的被害や物的被害は甚大なものと予測され、その備えが必要となります。
『福島市耐震改修促進計画』では、「福島盆地西縁断層帯を震源とする地震」による想定地震の揺れの被害を想定しています。
阪神・淡路大震災で倒壊した建築物の多くは、昭和56年6月1日に施行された建築基準法施行令(昭和25年政令第338号)の耐震関係規定に適合していないものでありました。
阪神・淡路大震災の被害結果を受けて、既存建築物の耐震性の強化が防災対策の中でも緊急性の高いものとして認識され、「建築物の耐震改修の促進に関する法律(平成7年10月27日法律第123号。以下「耐震改修促進法」)」が、平成7年10月27日に施行されました。
昭和56年の建築基準法(昭和25年法律第201号)改正により、新しい耐震基準が施行されました。『新耐震基準』の建築物とは、昭和56年(1981年)6月1日以降に工事が着手されたものをいいます。
「耐震性能有り」とは、新耐震基準の建築物及び耐震診断により耐震性能を有すると判断された建築物です。
一方、「旧耐震基準」の建築物とは、昭和56年(1981年)5月31日以前に工事が着手されたものをいいます。
新耐震基準の建築物でも、過去に大きな災害に見舞われたり、度重なる被災(連続的な地震の発生)を受けたりすることで、建築物に亀裂やヒビ、歪みが発生し強度が低下することが十分に考えられるため、大震災が起こった際には、倒壊のおそれがあります。
現在の木造の耐震基準は、阪神・淡路大震災による甚大な被害結果を基に見直され、平成12年(2000年)に改正されたものです。
平成28年に発生した熊本地震(平成28年に発生)では、『新耐震基準』で建設された木造住宅であっても、構造関係規定が追加される前の平成12年5月までの仕様により建てられたものに一定の被害があったことが確認されています。これらの要因としては、柱とはり等の接合部の接合方法が不十分であったことや地盤変状、木材の劣化等のためであると指摘されています。
平成28年(2016年)4月に発生した熊本地震においては、最大震度7の地震が2回観測されるなど、震度6弱以上を観測する大きな地震により、建築物に甚大な被害が発生しました。
「熊本地震における建築物被害の原因分析を行う委員会(国土交通省及び国立研究開発法人建築研究所で設置)」の報告によると、旧耐震基準の木造建築物は、新耐震基準の木造建築物と比べて、倒壊率が顕著に高くなっています。
一方、必要壁量が強化された新耐震基準の木造建築物は、倒壊、崩壊が少なく、その防止に有効であったことが認められました。これは、建築物における必要壁量が、新耐震基準は旧耐震基準の約1.4倍確保されていることが起因であると考えられます。
さらに、新耐震基準の木造建築物のうち、構造関係規定(接合部の仕様等が明確化)が追加された平成12年(2000年)以降の建築物の倒壊率が低くなっています。
図:木造の建築時期別の被害状況
(資料:「熊本地震における建築物被害の原因分析を行う委員会報告書」(平成28年(2016年)年9月)
基礎形状(地盤種別)の仕様、壁量(充足率、壁率比)、壁の配置バランス(四分割法、偏心率)、接合部(継手、仕口等)などの条件が明確化された構造関係規定による仕様(2000年基準)の木造住宅は、それ以前の木造住宅と比較して被害が少なかったことから、旧耐震基準の木造住宅だけでなく、「2000年基準」を満たしていない木造住宅についても、木造住宅の耐震性能チェック(所有者等による検証)の促進や早期の『2000年基準』への適合が推奨されています。
耐震診断とは、「旧耐震基準」の建築物の地震に対する安全性(耐震性能)を構造力学上評価し、耐震改修が必要かどうか判断することです。
図面や現地での調査に基づき、構造の強度や変形の性能を把握し、地震に対する安全性、耐震化の必要性を確認することとなります。
耐震診断では、『震度6強から7に達する程度の大規模の地震』に対する安全性を示します。旧耐震基準の建築物であっても、違法に建築されたものや劣化が放置されたもの、度重なる被災(連続的な地震の発生)を受けたものでない限りは、震度5強程度の中規模地震に対しては損傷が生じるおそれは少なく、倒壊するおそれはありません。
耐震性能は、地震のエネルギーを吸収できる能力のことで、以下を考慮して決定されます。
木造住宅の場合は、一般診断法の構造耐震指標(Iw値)を用いて耐震性を評価します。Iw値とは、建物の粘り強さに形状や経年等を考慮して算出される構造耐震指標のことを言います。算出したIw値によって、以下の表のように建物の耐震性能を評価することができます。
構造耐震指標(Iw値) | 構造耐力上主要な部分の地震に対する安全性 |
---|---|
Iw<0.7 | 地震の震動及び衝撃に対して倒壊し、又は崩壊する危険性が高い |
0.7≦Iw<1.0 | 地震の震動及び衝撃に対して倒壊し、又は崩壊する危険性がある |
1.0≦Iw | 地震の震動及び衝撃に対して倒壊し、又は崩壊する危険性が低い |
非木造の建築物の場合は、第2次診断法の構造耐震指標(Is値)を用いて耐震性を評価します。Is値とは、建築物の耐震性能を示す指標のことをいい、地震力に対する建物の強度や変形能力、粘り強さを考慮し、建物の階ごとに算出します。この指標が大きくなるほど耐震性能が高いといえます。第2次診断の結果、『危険性が低い』と判断された建築物は、『新耐震基準』により設計される建物とほぼ同程度の耐震性能を保有していると判断されます。
「耐震改修促進法」に基づく告示(平成18年国土交通省告示第184号)により、震度6から7程度の規模の地震に対するIs値の評価については以下のように定められています。
構造耐震指標(Is値) | 構造耐力上主要な部分の地震に対する安全性 |
---|---|
Is<0.3 | 地震の震動及び衝撃に対して倒壊し、又は崩壊する危険性が高い |
0.3≦Is<0.6 | 地震の震動及び衝撃に対して倒壊し、又は崩壊する危険性がある |
0.6≦Is | 地震の震動及び衝撃に対して倒壊し、又は崩壊する危険性が低い |
福島市においても、「耐震改修促進法」に基づき、建築物の耐震化を計画的かつ総合的に促進し、地震により想定される被害を減少させ市民の生命及び財産を保護する「暮らしを支える安心安全のまち」を実現することを目的に、「福島市耐震改修促進計画」を策定しています。
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