公開講座「代官国領半兵衛と『陸奥国信夫伊達惣検地高絵図屏風』」開催報告
・講 師 阿部俊夫氏(福島市史編纂委員)
・開催日時 令和7年12月6日（土曜日） 13：30～15：30
・参加人数 66名(公開講座＋歴史人材養成講座 受講者等)
江戸時代のはじめ、代官国領半兵衛は、1670(寛文11)年6月から1674(延宝2)年までかかって、信夫・伊達両郡すべての幕府領の惣検地を行いました。今回の講座では、その成果を描いた屏風が紹介されました。
この屏風は、『陸奥国信夫伊達惣検地高絵図屏風』(1990年3月福島県重要文化財指定 福島県歴史資料館寄託)といい、幕府代官の国領半兵衛(1620－1701)が1679(延宝7)年6月に福島を離れるに際して、感謝の意味を込めて福島城下の中町の検断役であった安斎家に贈ったものと言い伝えられています。
この屏風は、六曲一双(6枚折りの屏風2帖、左右に配列)に仕立てられており、阿武隈川左岸の信夫郡の一隻と阿武隈川右岸の伊達郡の一隻から構成されます。
各村は色分けされ、当時の村名・石高が記されていると同時に、当時の地形・土地利用・溜池・井堰・一里塚・木戸・渡し場・中世城郭址・屋敷林・植生なども分かり、信達地域(現在の福島・伊達市、桑折・国見・川俣町)の歴史を調べる上で、大変貴重な情報が盛り込まれています。
上記の情報に加え、渡舟などが描かれており、阿武隈川舟運が本格的に始まったことを示しているというお話がありました。
「陸奥国信夫伊達惣検地高絵図屏風」
講師の阿部俊夫氏
フィールドワーク「城下町を歩こう」開催報告
・講 師 ふれあいボランティア(村上博彦氏、名越正家氏)＊
＊郷土史料室の事業で、史跡案内等のボランティアをしてくださる方々
・開催日時 令和7年10月25日（土曜日） 9：30～12：00
・参加人数 16名(一般の参加者等)
江戸時代、福島は板倉家の治める福島藩の城下町でした。明治維新以降、近代化が図られ、町の様相は大きく変化しましたが、かつての奥州街道をはじめとする町筋は依然として城下町当時を色濃く反映しています。
今回のフィールドワークは、福島城を中心に、私たちの今につながる城下町の名所・旧跡(福島城土塁、寺町通り、旧奥州街道、福島城大手門など)をめぐりました。
各見学場所において、参加者の皆さんは大変熱心に講師の説明に聞き入り、写真を撮影したりして、城下町の歴史について、理解を深めていました。
講師の村上博彦氏(マイクを持っている方)、名越正家氏
大佛城阯碑
福島城址碑
大佛城宝塔 板碑
福島城土塁
密語橋
御倉邸
御倉邸の敷地から「福島河岸」を眺めています。
御倉邸の敷地の「旧米沢藩米蔵」
宝林寺
柳稲荷
信夫橋北側の歩道橋から旧奥州街道を見ています。
信夫橋北側に2代目信夫橋の親柱(中央)があります。
※現在の信夫橋は、4代目。
寺町通りでは写真の常光寺ほか、多くのお寺をめぐりました。
日本銀行福島支店東側の米沢口(庭坂口)跡です。
到岸寺です。残念ながら、法要のため、大日如来坐像を見ることは
できませんでした。
左 福島市道路元標
右 福島縣里程元標(復元)
福島城大手門跡
福島市文化財指定記念「土湯伝統こけし」開催報告
・講 師 相原聡子氏(公益財団法人 東邦銀行・文化財団附属 原郷のこけし群 西田記念館 学芸員)
・開催日時 令和7年9月20日（土曜日） 13：30～15：00
・参加人数 37名(一般受講者等)
土湯という山間部に生きた人々の生活文化や歴史を知る上で貴重なものとして、「土湯伝統こけし製作技術」が令和7年3月25日に福島市指定無形民俗文化財に指定されました。
講師からは、土湯伝統こけしの特徴や製作の様子の説明のほか、土湯においては、(1)かつて、旅籠(はたご)や炭焼き、農業などを行いながら副業として木地業が行われていたこと、(2)日用品の盆や茶壷、燭台などを作る傍ら、子どもの玩具としてこけしが作られ、温泉土産として発展していったこと、(3)現在、土湯木地業はこけし作りのみが受け継がれている、という説明があり、参加者の方々は、文化財として指定された背景について、理解を深めていました。
講師の相原聡子氏
当日は、講師の方に準備していただいた土湯伝統こけし工人組合の
工人6名のこけしと、「こけしの12系統」すべてのこけしを展示いたしました。
公開講座「地図から見る福島市街地の移り変わり」開催報告
・講 師 初澤敏生氏(福島大学人間発達文化学類教授)
・開催日時 令和7年9月6日（土曜日） 13：30～15：30
・参加人数 81名(公開講座＋歴史人材養成講座 受講者等)
福島市において、文化振興審議会会長、文化財保護審議会委員などを務めていただいている初澤氏をお招きし、地図の切り口から福島の中心部と福島駅西側に広がる地域の歴史について、説明していただきました。
近世末の奥州福島城下の地図(福島大学元学長の安田初雄氏作成)や、国土地理院が発行している5万分の1地形図などを使用した市街地の変遷とその歴史的背景の説明は、参加者の方々にとても好評でした。また、講師から「もし福島に路面電車が残っていたら」という話が出され、街づくりについて考える良い機会にもなりました。
講師の初澤敏生氏
工作講座「作って遊ぼう『からくり』」を開催しました♪
平安時代に始まり江戸時代末期から明治時代にかけて開花した「からくり」。それは日本の歴史的な機械的人形・自動装置(オートマタ)として、また、独自性・文化性の面から『KARAKURI』とローマ字表記されるようになりました。今回、実際に取り掛かりやすく簡単な動く玩具を作ってもらい、「からくりの」の仕組みを学んでいただくため、この講座を企画しました。
開催当日は、保護者の皆様に付き添われた小学生・幼稚園児の皆さんが数多く参加され、ふれあいボランティアにアドバイスを受けながら、「からくり」を作っていました。また、今回は、ふれあいボランティアの参加が多く(8名)、子どもたちに手厚いサポートができ、自然な形で世代間交流も図れました。
1 日 時
令和7年8月2日（土曜日） 13：30～15：30
2 場 所
福島市市民センター312講義室
3 参加者
申込者14名(付き添いの保護者含む)、ふれあいボランティア8名
計22名
〇次のような「からくり」を作っていただきました。
考案と講師は、長年工作講座に携わっている福島市郷土史料室の酒井玲子です。
完成です。