趣旨と目的
従来、町内会等の団体が保有する不動産(土地や集会所等)については、個人名義でしか登記できず、相続の際に、その所有権について争いが生じたり、共有者が多数の場合にはその名義変更に手間がかかる等の問題がありました。
そこで、これらの問題を解消するために、地縁による団体として認可された(法人格を取得した)場合に、町内会等団体名義での登記ができるようになりました(地方自治法第260条の2)。福島市では、この認可を行っています。
認可地縁団体の権利の付与と義務の発生
権利の付与(メリット)
地縁団体名義で契約や不動産登記などの法律行為ができます。
町内会等の団体が所有する不動産(土地・集会所等)については、これまでは個人名でしか登記できませんでした。このためその財産上の種々のトラブルの原因となり、このトラブルを解消するため、1991年(平成3年)に地方自治法が改正され、地縁による団体名義で不動産登記や契約等の法律行為ができるようになりました。
義務の発生(デメリット)
- 法令や規約に定める範囲内で義務を負います。
法人認可を受けた地縁による団体は、規約に定める範囲内で義務を負うこととなります。総会の開催、役員の選出等、規約に基づいた運営が求められ、事務処理や書類作成などの手続きが従前に比べ少々煩雑になります。 - 団体の規約や告示事項に変更があった場合、市に届出が必要です。
法人化した団体が規約を変更するには、総会での承認が必要なだけでなく、福島市の認可が必要となります。また、団体の名称や区域、事務所の所在、代表者の氏名や住所等の告示事項に変更があった場合も市に届出が必要です。
認可の対象となる地縁による団体
次の4つの要件すべてを満たしている団体が認可の対象となります。
4つの認可要件
- 「その区域の住民相互の連絡、環境の整備、集会施設の維持管理等良好な地域社会の維持及び形成に資する地域的な共同活動を行うことを目的とし、現にその活動を行っていると認められること。」
地域的な共同活動とは、回覧板や集会所の管理運営、防犯活動など一般的な町内会、自治体活動のことです。 - 「その区域が、住民にとって客観的に明らかなものとして定められていること。」
河川や道路等で区域が画されているなど、容易に、地縁による団体の区域や範囲が分かる状態である必要があります。 - 「その区域に住所を有するすべての個人は、構成員となることができるものとし、その相当数の者が現に構成員になっていること。」
その区域に住む人すべてが加入できるという意味です。世帯を単位とすることは認められず、また区域に住所があること以外に、年齢、性別、国籍等の条件や制限を設けてはいけません。相当数とはその区域の全住民(町内会、自治会等に加入していない人を含む)の過半数です。 - 「規約を定めていること。」
目的・名称・区域・主たる事務所の所在地・構成員の資格に関する事項・代表者に関する事項・会議に関する事項・資産に関する事項が定められていることが必要です。
認可申請手続き
(1)規約の整備
認可申請には地方自治法に規定する内容が盛り込まれた規約を定める必要があります。地方自治法には規約に規定する事項として、次の8つの項目があります。
- 目的
活動内容が具体的に分かるように定めます。目的は上記「4つの認可要件1.」に掲げる目的に適合する内容であることが必要です。 - 名称
地方自治法上地縁による団体の名称についての制限はありません。 - 区域
地縁による団体の区域は住民にとって客観的に明らかなものとして定められる必要があるので、町又は字及び地番又は住居表示により表示されることが最も望ましいものです。ただし、市町村内の他の住民にとって団体の区域が客観的に一義的なものとして認識できるものであれば認可されるものと考えられます。 - 事務所の所在地
事務所は、代表者の自宅に置く、あるいは集会施設に置くこととするのが一般的ですが、団体唯一の事務所として団体内部での連絡や会合等に最も適したところとすることが望まれます。 - 構成員の資格に関する事項
「区域に住所を有する全ての個人が構成員になれること」及び「正当な理由がない限り区域に住所を有する個人の加入を拒んではならないこと」について規約に定める必要があります。「全ての個人」とは「年齢、性別、国籍等を問わず区域内に住所を有する個人全て」という意味です。これに反するような加入資格等を規約に定めることは認められず、各構成員の表決権は平等でなければなりません。また、構成員の加入、脱退の手続き方法についても定める必要があります。 - 代表者に関する事項
団体の代表者(1名)の選出方法、任期、解任の要件、代表者の権限、代表者に委任する事務等について定めます。 - 会議に関する事項
通常総会、臨時総会の招集方法、議決方法、代表者の権限、代表者に委任する事務等について定めます。 - 資産に関する事項
資産の構成、会費の納入、経費の支弁及びこれらの管理方法等を定めます。
(注意)規約に上記8項目以外の項目を定めることは差し支えありません。
(2)総会開催
この認可申請は、地縁による団体の自主的な判断により行われるものであり、申請するためには総会での議決が必要です。総会では「認可申請を行う決定」のほか「新しい規約を定めること」「団体の代表者」「事務所」「団体として登記する不動産の決定」など、申請書類作成に必要な事項について議決を受ける必要があります。また、総会で議決を受けた際の議事録等が認可申請の際に必要となります。
(3)申請書類
総会で議決を受けた後、認可の申請を行います。申請に必要な書類は以下のとおりです。
- 認可申請書
- 規約(認可要件を満たす内容のもの)
- 認可申請することを総会で議決したことを証する書類(総会議事録の写しで、議長及び議事録署名人2名の署名・押印のあるもの)
- 構成員名簿(構成員全員の氏名・住所を記載したもの)
- 良好な地域社会の維持及び形成に資する地域活動を現に行っていることを記載した書類(前年度の事業活動報告書等)
- 申請者が代表者であることを証する書類(承諾書)
(4)認可の申請及び法人格の取得
提出された書類が認可要件を満たしているかどうか審査します。書類・内容等に不備がある場合、又は認可要件に合致しない場合は認可できません。審査の上、認可要件を満たしていると確認できた場合は、福島市長が認可及び告示をし、その旨を団体の代表者に通知します。なお、審査には1カ月程度かかります。
(5)認可地縁団体証明書の交付
認可事務が完了すると地縁団体台帳を作成します。認可地縁団体証明書(台帳の写し)は、福島市長による告示のあった当日から発行できるので、認可地縁団体証明書交付請求書により請求してください。認可地縁団体証明書は誰でも交付を受けることができます。
(6)不動産登記
認可後は団体名義での不動産登記ができるようになりますが、不動産の登記には、登記手数料等の費用と手続きが必要になります。詳しくは福島地方法務局へお問い合わせください。
(7)認可地縁団体の印鑑の登録
認可地縁団体の代表者が申請することで印鑑登録をすることができます。なお、代表者本人が申請する必要があります。団体の認可の告示事項の中に代理人が定められている場合に限り、代理人による申請ができます。ただし、その際には委任状が必要となります。
印鑑登録申請に必要なもの
- 認可地縁団体印鑑登録書
- 登録を受けようとする印鑑
- 代表者個人の(申請書に押印したもの)印鑑登録証明書
- 代表者の印鑑(実印)
認可後の地縁による団体
認可を受けた団体の性格等
法律上の権利義務の主体となることができ、法人格を有します。法人税や消費税、固定資産税、その他税に関する法令の規定は、従前どおり適用されます。法人税法等においては公益法人等とみなされ、届出が必要となり、収益事業は課税対象となります。
認可により権利能力を取得した後も、住民により任意的に組織された団体であることに変わりありません。また、認可地縁団体が行う活動について、福島市長は一般的監督権限を持ちません。
規約や告示事項に変更が生じた場合
認可を受けた後、規約や告示事項(代表者の氏名・住所・事務所の所在等)を変更した場合は、それぞれ「規約変更認可申請」「告示事項変更届出」の手続きが必要です。福島市長の変更認可・告示がなければ、変更された事項や規約内容は変更したことにならず、効力がないため、第三者に対して対抗できません。
規約を変更した場合
以下の書類を提出してください。書類審査の上、規約変更認可・不認可を文書で通知します。なお、規約の変更内容が、名称・目的・区域・事務所・解散の事由など、告示された事項である場合は、別途「告示事項変更届出」が必要です。
- 規約変更認可申請書
- 規約(変更後のもの)
- 規約変更の内容及び理由を記載した書類
- 規約変更を総会で議決したことを証する書類(総会議事録の写し)
- 総会資料(事業報告、決算報告、事業計画、収支予算等を記載したもの)
告示された事項を変更した場合
以下の書類を提出してください。審査の上、認可要件を満たしていると確認できたときは、福島市長が認可及び告示をします。
- 告示事項変更届出書
- 告示された事項に変更があった旨を証する書類(総会議事録の写し)
- 承諾書(代表者変更の場合)
- 総会資料(事業報告、決算報告、事業計画、収支予算等を記載したもの)
認可の取り消しと解散
取り消し
認可を受けた地縁による団体が以下の1つ以上に該当するとき、福島市長は認可を取り消すことがあります。
- 4つの認可要件のうちそのいずれかを欠くことになったとき
- 不正な手段により認可を受けたとき
解散
認可を受けた地縁による団体が以下の1つ以上に該当するとき、認可地縁団体は解散します。福島市長に対して届出(市長による解散告示)、及び清算に伴う債権申出の公告手続きが必要です。
- 規約に定めた解散事由が発生したとき
- 破産したとき
- 認可を取り消されたとき
- 総構成員の4分の3以上承諾のある総会の決議があったとき(規約に別段の定めがある場合を除く)
- 構成員が欠乏したとき
認可地縁団体が所有する不動産に係る登記の特例について
概要
地方自治法の一部改正(平成27年4月1日施行)により、認可地縁団体が所有する不動産のうち一定の要件を満たすものについて、認可地縁団体が福島市に対して、公告申請し福島市より「公告した結果異議申出」がなかったことを証する書面の交付を受けることで、特例により不動産の所有権の保存又は移転の登記ができるようになりました。(地方自治法第260条の38及び39関係)
(注意)申請については事前に地域共創課へご相談ください。
公告の申請要件
次の4つのいずれの要件にも該当し、かつ、これらを疎明するに足りる資料がある場合が対象となります。
- 認可地縁団体が不動産を所有していること。
- 認可地縁団体が不動産を10年以上所有の意思をもって平穏かつ公然と占有していること。
- 不動産の表題部所有者又は所有権の登記名義人の全てが認可地縁団体の構成員又はかつて認可地縁団体の構成員であったものであること。
- 不動産の登記関係者(表題部所有者、所有権の登記名義人、これらの相続人)の全部又は一部の所在が知れないこと。
申請書類
- 所有不動産の登記移転等に係る公告申請書
- 申請不動産の登記事項証明書
- 申請不動産に関し、地方自治法第260条の38第1項に規定する申請をすることについて総会で議決したことを証する書類
- 申請者が代表者であることを証する書類
- 地方自治法第260条の38第1項各号に掲げる事項を疎明するに足りる資料
地方自治法第260条の38第1項各号に掲げる事項を疎明するに足りる資料について
地方自治法第260条の38第1項各号に掲げる事項を疎明するに足りる資料について以下のものが考えられます。
認可地縁団体が不動産を所有し、10年以上所有の意思をもって平穏かつ公然と占有していること。(地方自治法第260条の38第1項第1号及び第2号関係)
- 申請不動産の所有又は占有に係る事実が記載された認可地縁団体の事業報告書等
- 1.に加え以下のような資料
- 公共料金の支払い領収書
- 閉鎖登記簿の登録事項証明書又は謄本
- 旧土地台帳の写し
- 固定資産税の納税証明書
- 固定資産課税台帳の記載事項証明書 等
不動産の表題部所有者又は所有権の登記名義人の全てが認可地縁団体の構成員又はかつて認可地縁団体の構成員であった者であること。(地方自治法第260条の38第1項第3号関係)
- 認可地縁団体の構成員名簿
- 墓地の使用者名簿(申請不動産が墓地である場合) 等
不動産の登記関係者(表題部所有者、所有権の登記名義人、これらの相続人)の全部又は一部の所在が知れないこと。(地方自治法第260条の第38第1項第44関係)
- 登記記録上の住所の属する市区町村の長が、当該市区町村に登記関係者の「住民票」及び「住民票の除票」が存在しないことを証明した書面
- 登記記録上の住所に宛てた登記関係者宛の配達証明付き郵便が不到達であった旨を証明する書面
- 申請不動産の所在地に係る精通者等が、登記関係者の現在の所在を知らない旨の証言を記載した書面等
公告に対する異議申し立て
申請された不動産の表題部所有者や所有権の登記名義人及びこれらの相続人のほか、申請された不動産の所有権を有することを疎明する者は、公告期間中、申請内容について異議を申し出ることができます。異議を申し出る場合は、「申請不動産の登記移転等に係る異議申出書」に、必要な書類を添付し提出することにより行います。
なお、異議を述べることができる者の範囲は以下のとおりで、それぞれ必要書類が異なります。
異議を述べることができる者の範囲
- 表題部所有者又は所有権の登記名義人
- 表題部所有者又は所有権の登記名義人の相続人
- 所有権を有することを疎明する者
必要書類
- 申請不動産の登記移転等に係る異議申出書(この異議申出書に記載された事項については、その後の当事者間での協議を円滑にするため認可地縁団体に通知されます。)
- 申請不動産に関する登記事項証明書、住民票の写しその他福島市長が必要と認める書類
登記関係者等の別 | 登記関係者等である旨の確認 | 申出書に記載された氏名及び住所の確認書類 |
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表題部所有者又は所有権の登記名義人 | 登記事項証明書 | 住民票の写し、戸籍の附表の写し |
表題部所有者又は所有権の登記名義人の相続人 | 登記事項証明書、戸籍謄抄本 | 住民票の写し、戸籍の附表の写し |
所有権を有することを疎明するもの | 所有権を有することを疎明するに足りる資料 | 住民票の写し、戸籍の附表の写し |
その他
当該特例制度は、認可地縁団体が所有する不動産について、その所有権の保存又は移転の登記を認可地縁団体のみの申請により可能とするもので、当該不動産の所有権の有無を確定させるものではありません。
公告状況について
公告期間内に限り、当該不動産の所有権に関わりのある登記関係者等は、異議を述べることができます。異議のある者は、公告期間内に地方自治法施行規則第22条の3第3項に規定する申請書に、不動産の登記事項証明書、住民票の写し、その他福島市長が必要と認める書類を添えて、公告を行った福島市長に提出することとなります。
現在の公告状況
現在公告中の案件はありません。