デジタルハリウッドSTUDIO福島が進めるデジタルを活用したひとづくり・まちづくり
マッチング事例:デジタルハリウッドSTUDIO福島
福島市デジタル人材バンク(以下、デジタル人材バンク)は、市内の中小企業などが抱える課題をデジタルの力で解決するために、支援を希望する企業・団体と、支援を行うデジタル推進パートナーとのマッチングを行っています。
今回は、デジタルハリウッドSTUDIO福島(以下、デジハリ福島)のマッチング事例を紹介します。セミナーに登壇・共催されたデジタル推進パートナーの3名と、デジハリ福島の運営者に、デジタル人材バンクを利用した感想などを伺いました。
左から「せんのいのり」プロジェクトの鳥浜誠さん、Xenkai(ゼンカイ)・代表取締役の渡邉隆さん、東北コピー販売・代表取締役の高橋剛さん、デジハリ福島の高橋加奈さん
福島市で活躍するフロントランナーがセミナーに登壇
――まずはデジハリ福島について教えてください
高橋加奈さん(以下、加奈さん):デジタルハリウッドSTUDIOは、日本全国にあるデジタルスキルを学ぶスクールで、デジハリ福島ではWebデザインや動画編集などを学べます。スクールにはパソコンが複数台置いてあり、各々動画教材を見つつ、わからない点は常駐しているトレーナーに質問できます。
――実際にデジタル人材バンクを使ってみて良かったことを教えてください
加奈さん:地元企業と自然につながることができ、複数のセミナーを開催できました。セミナーには個人の方だけではなく会社の経営層も参加されたのですが、人材育成だけではなく、企業課題の解決のきっかけを提供する体制ができてきているように感じます。
――どのようにセミナーの登壇者とつながったのですか?
加奈さん:Xenkai(ゼンカイ)・代表取締役の渡邉隆さん(以下、渡邉社長)や東北コピー販売・代表取締役の高橋剛さん(以下、高橋社長)とは、福島市デジタル推進課が開催した「デジタル推進パートナーによる個別相談会」で出会いました。また、VTuber「せんのいのり」プロジェクトの鳥浜誠さん(以下、鳥浜さん)は、中学校の先生からVTuberに必要なスキルの相談を受けて、一人で悩んでしまったためデジタル人材バンクに相談して紹介してもらいました。
(注釈) VTuber…Virtual YouTuberの略称で、3Dキャラクターを使って活動するYouTuber
――セミナーを開催した目的はどのようなものでしたか?
加奈さん:福島市のにぎわい創出ですね。ここデジハリ福島でフロントランナーの皆さんのセミナーを開催することで、福島市でも活躍されている方がいるという情報発信と、福島市中心部の賑わい創出に繋げたいという目的がありました。
反響が大きかったイベント登壇
――では実際にイベントに登壇・共催してみた感想をお聞きします
渡邉社長:私は「企業向け生成AI×DX実践セミナー」に登壇したのですが、「うちの従業員全員に聞かせたい」という声もあるなど、たいへん反響がありました。実際に「どのように生成AIなどを業務に活用できるかイメージできました」という声も頂きましたし、弊社サービスの提供が決まるなど、メリットは多かったです。
鳥浜さん:私が登壇したのは「デジハリ福島×せんのいのり『推しと学ぼう クリエイティブへの第一歩を!』」というセミナーでした。
せんのいのりは福島市発のVTuberですが、VTuberがどのように動画を作成・編集しているのか、そしてVTuberとしての仕事を包み隠さず話しました。デジハリ福島のトレーナーと一緒に登壇したのですが、3Dモデルと人間の講師がリアルタイムで話しながら進行するというのは画期的だったと感想をいただきました。実際、このセミナーに参加してデジハリ福島に通うことを決めた人がいたと聞いています。
高橋社長:私は「一流企業が語る組織変革とDXの最前線」というセミナーをデジハリ福島と共催しました。
私は黒子に徹して、クラウドサーカス株式会社の鯵坂賢さん、日本マイクロソフト株式会社の久保田裕佳さん、サイボウズ株式会社の大越脩賀さんに登壇頂きました。もともとデジハリ福島で何かイベントができないかと考えており、せっかくならビッグネームの企業の方を福島市に呼びたいと思いました。やはり有名企業の方々が登壇したということで、大きな反響がありましたね。
加奈さん:どのセミナーでも、登壇者へ積極的に質問が投げかけられていました。生成AIに関するセミナーでは、「生成AIは難しいと思っていたけれど、意外と簡単に使えそう」「すぐに現場で取り入れたい」といった感想をもらっています。総じて「セミナーに参加して良かったです」という声が多かったですね。中には「あの企業の話をもっと聞きたいです」という要望もありました。
ビジネス成長のきっかけとしてのデジタル人材バンク
――デジタル人材バンクの取り組みについてどのように感じていらっしゃいますか?
渡邉社長:福島市だと、なかなか”横のつながり”ができにくいところがあると思います。デジタル人材バンクが無ければ、ここにいる高橋社長、鳥浜さん、デジハリ福島の高橋加奈さんのような方々とつながることもできませんでした。また、デジハリ福島でのセミナーを通じて「このような事業をしている」という情報発信ができたのは大きかったですね。自社のブランディングにもなりますし、そのきっかけとなったデジタル人材バンクは、福島市には必要不可欠です。
鳥浜さん:デジタル人材バンクをハブとしてデジハリ福島のセミナーで、せんのいのりについて知ってもらうきっかけを得ることができました。セミナーでは「自分たちはこういう想いでプロジェクトに取り組んでいるんだ」といった、自分たちの考えを発信できます。そういう機会を頂けるデジタル人材バンクは貴重ですし、もっとほかの企業・団体に活用してもらいたいと思います。
高橋社長:私もお二方と同じで、デジタル人材バンク経由でセミナーを開催できた意義は大きかったです。ほんのちょっとした困り事でも解決できると思うので、まずはデジタル人材バンクに相談してみると良いと思います。
何から取り組めば良いか悩んでいる事業者へアドバイス
――依然としてデジタル化やDXについて「何から取り組めば良いかわからない」という方も多いと思いますので、そのような企業へアドバイスをお願いします
渡邉社長:私は3つのステップがあると思っています。
1つ目は「課題の明確化」ですね。皆さんも思い当たる節があると思うのですが、日々の業務が忙しすぎて目の前の業務しかできていないというケースが多いのではないでしょうか。「何が課題か」「どの業務がボトルネックになっているか」をしっかり可視化することにまずは取り組むべきだと思います。
2つ目はその課題にどう取り組めば良いか、しっかりと検討することです。スモールステップでも良いので、とりあえずツールを触ってみることをおすすめします。生成AIでも良いのですが、従業員全員に使ってもらうことが大事ですね。
3つ目はそれを踏まえた人材育成です。組織の中でデジタルを浸透させるための教育システムとか、デジタルスキルの醸成は大事です。そこは社長を含めトップダウンで進めていく必要があると思っています。
鳥浜さん:やはり実際にツールを使ってみると良いと思います。生成AIでも、Canvaでも何でもよいので、とにかく使ってみる。そうすると「これってこの業務に使えそうかも」と気付くようになるんです。まず食わず嫌いせずに触ってみることをおすすめします。
(注釈) Canva…無料で始められるデザインツール
高橋社長:自分たちの業務を分析して、必要なもの・そうではないものの整理すると良いですね。しかも全社的に取り組むべきです。仮に総務部門でペーパレス化に成功したとしても、他部門で紙印刷が増えていたら意味がないですし(笑) 業務を俯瞰して整理することが重要です。
またWordやExcelなどのデータの整理もそうですね。保管するデータなのか、共有するデータなのか、きっちり分けないとデータが分散してしまってどれが最新版なのかわからなくなってしまいます。それに、きちんと共有化されていないとデータも属人的になってしまいますからね。
加奈さん:デジハリ福島のセミナーもそうですが、まずはいろいろなイベント・セミナーに出向いてみることでしょうか。足を運んで、先進事例などを情報収集していくのが良いのではないかと思います。迷ったらデジタル人材バンクに相談してほしいですね。
デジタル推進課より
支援を行うデジタル推進パートナーには、2025年7月末現在で65名の方に登録いただいています。デジタル人材の育成に課題を感じている場合には、デジハリ福島の講座や福島市デジタル人材バンクをぜひご活用ください。
今回の事例
デジタルハリウッドSTUDIO福島 + 東北コピー販売株式会社 + Xenkai株式会社 + 鳥浜誠
マッチング成立:2025年1月~2月
セミナー開催:2025年3月~4月
〇東北コピー販売株式会社
〇せんのいのりプロジェクト
〇Xenkai株式会社
〇デジタルハリウッドSTUDIO福島
ライター紹介
今回の記事は、デジタル人材バンクにも登録して活躍されている安齋慎平さんに執筆していただきました。
〇デジタル推進パートナー 安齋慎平さん
デジタルハリウッドSTUDIO福島
デジタルハリウッドSTUDIO福島におけるデジタル・クリエイティブ人材育成育成は、株式会社テレビユー福島・デジタルハリウッド株式会社と締結したデジタルを活用したひとづくり・まちづくりに関する三者連携協定に基づいた取組です。