エレベーター等の適性な維持管理保全により安全確保をお願いします。
維持保全の必要性(建築物の維持管理は所有者、管理者、占有者の責任)
建築基準法第8条には、「建築物の所有者、管理者又は占有者は、その建築物の敷地、構造及び建築設備を常時適法な状態に維持するように努めなければならない。」と定められています。
建築物やエレベーター等を新設する場合は、昇降機の確認申請が必要です。工事完了後は完了検査を受けなければならず、検査の結果、建築基準関係規定に適合していると認められる場合は検査済証が発行され、使用が可能となります。
エレベーター等を安全で快適な利用を維持するためには、日常の点検や検査がとても大切となります。
特にエレベーターは、異常動作による人身事故や大規模地震の発生によるエレベーターかご内への閉じ込めが発生する恐れがあります。
エレベーター等を安全にご利用いただくため、適切な維持保全に努めていただくようお願いします。

維持保全の内容
- 日常的な維持管理(清掃、保守、日常点検)
- 定期的な維持管理(専門的知識を持つ者による定期点検)
エレベーターのより安全な利用
平成18年に東京都で発生した、エレベーターの戸が開いたままの状態でかごが上昇し、利用者が乗降口の戸の枠とかごの間に挟まれる死亡事故や平成17年の千葉県北西部地震、平成23年の東日本大震災等を受け、地震時等に起こるかご内の閉じ込め事故を防止するため、平成21年9月28日に「戸開走行保護装置(ブレーキ二重化)」や「地震時管制運転装置」の設置等が、義務付けられ、基準が強化されました。
平成21年9月28日以前に工事が着手された「既存不適格エレベーター」について、安全性の確保のために、同装置の設置について検討をお願いします。
戸開走行保護装置
駆動装置や制御器に故障が生じ、かご及び昇降路のすべての出入口の戸が閉じる前にかごが昇降した場合などに、自動的にかごを制止し人が挟まれることを防止します。
(出典:国土交通省リーフレット)

地震時管制運転装置
地震発生初期の微震動(P波)を感知し、本震(S波)が到達する前に、最寄り階に自動運転することにより、人がかご内へ閉じ込められることを防止します。
(出典:国土交通省リーフレット)

万が一に備えて
地震時に閉じ込めが発生し、復旧への対応や救出までに長時間を要する場合に備えて、手回し充電ライトや非常用飲料水、非常用食料、簡易トイレ等の防災グッズを備蓄した「防災キャビネット」のエレベーターかご内の設置が推奨されています。
定期報告制度
建築基準法第12条には、「建築物の所有者又は管理者は、専門的知識を持つ者による調査又は検査を定期的に受け、その結果を特定行政庁(福島市長)に報告しなければならない。」と定められています。
小荷物専用昇降機
建築設備には、小荷物専用昇降機(ダムウェーター)も含まれます。
利用者の安全確保の観点から、小荷物専用昇降機の維持管理が強化され、全てのフロアタイプとテーブルタイプ(全ての出し入れ口の下端が室の床面よりも50センチメートル以上高いものを除く)が定期報告の対象(建築基準法平成28年6月改正)となります。
小荷物専用昇降機は、搭乗禁止のため、一般のエレベーターよりも安全装置が簡略化されています。安全な利用のため、安全装置を設けることを保守会社、製造会社等とご相談ください。
維持管理の主な項目 | 具体的な内容 |
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管理組織、運営 |
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日常の管理 |
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適正な昇降機の使い方 |
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使用者に対する安全指導 |
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「使用上の注意」等の取り付け例 |
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違法に設置されているエレベーター対策
平成21年2月に兵庫県姫路市の食品会社の工場に設けたエレベーターにおいて、死亡事故が発生しました。
工場等に設置される簡易リフト、エレベーターに関しては、労働安全衛生法と、建築 基準法が適用されますが、事故を起こしたエレベーターについては、建築基準法の規定に基づく確認申請等の手続がされておらず、建築基準法に適合しない部分があったことが確認されています。
企業等のコンプライアンス(法令遵守)が強く求められる昨今、事業者におかれましては、工場等に簡易リフト、エレベーターを設置される際は、労働安全衛生法に係る設置届又は設置報告書と、建築基準法に基づく手続(建築確認、完了検査、定期検査報告)を適正に行っていただきますようお願いします。