大きなダルマを持ち並んでいる高野会長と村田さんの写真

富塚町内会の高野会長(左)と福島だるま制作者の村田さん(右)

やや長身でギロっと睨み付ける目、触るとボコボコした感触が心地よい『福島だるま』
北信地区にある富塚町内会が地域の伝統文化である『福島だるま』を活用し、地域の魅力再発見と新たな繋がりを生み出しました。

地域内外から多くの方が集まり、笑顔があふれる体験教室を主催した町内会の取り組みを掘り下げていきます!

目次

  • 筆を持ったら、みんなアーティスト!
  • 高校生とのコラボで新しい風が!
  • 町内会が抱える課題~地域のつながりをどう再生するか~
  • 町内会は人材の宝庫
  • 町内会長の想い~次の世代に何を残せるか~

筆を持ったら、みんなアーティスト!

令和6年10月19日、富塚町内会が主催する「福島だるま絵付体験教室」が和やかな雰囲気のもと開催されました。幼児から高校生まで35人が絵付けを体験。カラフルな絵の具と顔の真っ白なだるまを前に、会場にいた保護者までもが夢中になってデザインを考えます。

床にビニールシートが敷かれた屋内で机ごとに分かれて座っている参加者たちが、だるま作り体験を行っている様子の写真

会場には多くの参加者が集まりました

「目が難しいなぁ」と子ども達は、絵筆を使った絵付けに戸惑いながらも、見本を忠実に再現したり、オリジナリティを出してみたり…。参加者が思い思いに絵筆を走らせ、世界に一つだけの福島だるまを作っていました。

材料などが置かれた2台の長机をくっつけた周りに座った参加者たちが、だるまに色を塗っている様子の写真

「難しいけど、できたら嬉しい!」と真剣な表情

傍で父親や2名の男性が見守るなか、2人の男の子がダルマに色付けしている様子の写真

子ども達の斬新なアイディアに感動する高野会長と村田さん

福島だるまの制作者である村田さんは、「企画の段階では子どもたちが絵付け出来るのか不安だったが、皆さんの作品を見て、自分たちでは思いつかなかったアイデアに満ち溢れていて“素晴らしい”と感じた。」と語りました。

一人ひとりデザインは違っても、作り手にとっては立派な福島だるま。

伝統という『固定観念に縛られない』ことが、この活動の成功の秘訣だったのかもしれません。

高校生とのコラボで新しい風が!

今回の体験を企画するにあたり、「若い子にも知ってもらいたい」との気持ちで、地元の福島商業高校に訪問し、参加を依頼。生徒たちの参加が実現しました。

参加した生徒たちからは「初めての体験だけど楽しい!」と、地域との新しいつながりを実感してもらい、「地域の伝統を若い世代に知ってもらえるのが嬉しい」との声、そして町内会の役員たちも笑顔に。

「福島だるま絵付体験教室」と書かれた会場に自分たちで絵付けをしたダルマが長机に並んで置かれ、後ろに参加した小学生から高校生までの子供たちが並んでいる集合写真

集合写真では自然と笑顔に

これまで、町内会と高校との交流はありませんでしたが、福島だるまを通じて新たな関係性を築くことが出来ました。

企画終了後、高校からは、次年度の文化祭でだるま作りを披露したいという相談があり関係者は、今後の新たな可能性に胸を弾ませています。

2台の長机の上に色付けされたダルマが10個ずつ4列に並んで置かれている写真

完成した福島だるま。若い世代のアイディアには新たな可能性を感じさせます

町内会が抱える課題~地域のつながりをどう再生するか~

近年、福島市でも町内会加入世帯の減少や役員の高齢化、なり手不足など多くの課題を抱えています。

「町内会って何をしているのかわからない」「忙しくて参加できない」、このような声も決して少なくありません。

高野会長は「町内会はただの集まりやゴミ集積所の管理だけではなく、地域をつなぐ大切な場」と語ります。

福島だるま絵付体験教室のような企画は、地域の人々が気軽に集まり、つながりを感じられる場づくりという点からも「想いが体現した場」でもあったのです。

家の屋根や道路の隅に溶けかけた雪が積もった富塚町内の街並みの写真

富塚町内会の街並み

町内会は人材の宝庫

今回の開催のきっかけを伺ったところ、「町内会の役員が『福島だるまは子ども達にとって良い教材になる』と言っていたことが、今回の活動を始めるきっかけでした。」と話しました。

町内会は人材の宝庫です。

『福島だるま』の重要性と魅力を気づかせてくれた役員、活動記録を得意のパッチワークで作ってくれた幼稚園の先生、そして長年福島だるまを作り続けてきた村田さんなど、各分野のプロや特技を持った方の存在、そして、普段から大切にしているコミュニケーションがあったからこそ実現しました。

「福島だるま絵付体験教室」と書かれ、絵付け体験の様子の写真が大きな模造紙に貼られた写真

町内会の会員(幼稚園の先生)が作成した可愛い活動記録

高野会長の想い~次の世代に何を残せるか~

今回の絵付体験教室で子どもたちの笑顔を見たとき、「やってよかった」という気持ちが湧き上がったと話す高野会長。そこには、会長の最も大切にしている思いがあったからです。

それは『未来への責任

「『子どもたち』のために良い思い出を作ることが大人の役割です」「『子どもたち』が大人になって、ふと昔を思い出して、"富塚町内会で育ってよかった"と思ってもらえたら幸せです。」と、こぼれる笑顔に子ども達への温かい想いが溢れていました。

3台の長机をくっつけた周りに参加した親子連れが座り、ダルマの絵付け体験を行っている様子の写真

五感を使って体験した思い出は記憶に残ることでしょう

町内会が子どもたちにしてあげられることはなにか…

それは特別なことではなく、楽しみながら継続すること。

「参加者には「楽しんでほしい・地域を知ってほしい」、運営者には「普段の活動は“素晴らしいこと”・自信を持ってほしい」、町内会に携わるみんなの「楽しい」「心地よい」を思えることが一番であり、そこを考え続けたい」と高野会長。

絵付体験教室の終了と同時に動き出した、福島商業高校との新たなコラボや伝統文化保存…高野会長の目からは、新たな挑戦への決意と覚悟を感じました。今後の活動の展開が楽しみです。福島市では、地域ごとの取り組みを地域コミュニティ等支援事業により応援していきます。

ダルマに囲まれた高野会長と村田さんと安田さんが両手を広げ並んで座っている写真

高野会長(左)、福島だるまの制作者の村田さん(中央)、地元北信支所の安田さん(右)

事業内容
事業名 郷土工芸福島だるま絵付け体験教室
団体名 富塚町内会
期間 9月1日~10月19日
主な事業費 材料費
事業目的 現在、福島だるまの制作者は北信地区に在住の職人のみとなった。
地域の子供たちが貴重な文化伝統工芸である福島だるまの絵付けを体験することにより、福島郷土の歴史や文化について理解を深めさせると伴に、担い手育成へのきっかけ作りとする

この記事に関するお問い合わせ先

政策調整部 地域共創課 市民共創係
福島市五老内町3番1号
電話番号:024-525-3731
ファックス:024-536-9828
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