はじめに
台所の調理器具からの火災は、住宅火災の原因の上位を占めています。台所からの火災を予防するために、このページでは台所の調理器具の設置と維持管理や使用するうえでの注意事項についてご紹介します。
新築やリフォームの際は台所のコンロ周囲の離隔距離に注意
台所に設置する調理器具と、建物の部分や可燃物品との間の距離(離隔距離)について、火災予防条例で安全な距離の規定が設けられており、コンロ周辺の仕上材の構造が確認できない場合及び木製の可燃物にステンレス板やタイルなどの不燃材を直接貼り付けられた壁等を含み、下の図に示す距離を確保してください。その理由として裏側の下地が木材の場合、木部が長時間にわたり輻射熱を受けると次第に炭化し、最後に着火するおそれがあるためです。(この現象は「低温着火」といわれております。)
なお、下地を含め不燃材で有効に仕上げをした部分、または、防熱板(取扱説明書に従って取り付けたもの)を設けた場合は、カッコ内の距離に緩和されます。
- 上方100センチメートル以上(80センチメートル以上)
- 側方15センチメートル以上(0センチメートル以上)
- 後方15センチメートル以上(0センチメートル以上)
ガスコンロを設置する場合

所定の離隔距離が取れない場合は、防熱板を設けてください
・コンロ上方に防熱板を設ける場合
コンロとコンロ上方に設ける防熱板との離隔距離は、80センチメートル以上必要です。
また、防熱板の幅は、コンロの幅に両端それぞれ15センチメートルを加えた大きさ以上必要です。

・コンロ側方に防熱板を設ける場合
壁等から防熱板までの離隔距離は、1センチメートル以上必要です。
また、防熱板を設ける際は材質、厚さや取付方法などが定められていますので取扱説明書で必ず確認してください。

防火性能評定を受けた機器の場合
防火性能の評定を受けた機器の場合は、防火上安全と確認された離隔距離が機器本体に表示されているので、その表示に従って設置することができます。

ガスコンロの表示ラベルの例
調理油過熱防止装置について
調理油の温度が過度に上昇した場合に自動的に燃焼を停止する装置(調理油過熱防止装置)があるものを使用しましょう。コンロから出火する火災のほとんどは「放置したり・忘れたり」することによるものですので、揚げ物調理は調理油過熱防止装置があるコンロで行うようにしてください。なお、平成20年以降の製品は調理油過熱防止装置がついています。(平成20年以前のものは、一口しかついていない場合があります。)また、IH調理器では必ず「揚げ物コース」を使って調理しましょう。

てんぷら油は約370度を超えると発火します。調理油過熱防止装置はなべ底の温度を感知して約250度になると自動で燃焼を停止します。
IH(電磁誘導加熱式)調理器を設置する場合

IH(電磁誘導加熱式)調理器においても、ガスコンロと同様に不燃材料以外の材料で仕上げをした部分に設置する場合は、上の図に示すように、
・上方は100センチメートル以上(不燃材料で仕上げをした部分に設置する場合は80センチメートル以上)
・側方及び後方は、
1. 機器本体の外側から2センチメートル以上(不燃材料で仕上げをした部分に設
置する場合は0センチメートル以上)
2. IHヒーター部分の外側から10センチメートル以上(不燃材料で仕上げをした
部分に設置する場合は0センチメートル以上)
上記1.又は2.のうち、いずれか長いほうの離隔距離をとる必要があります。
また、コンロ周辺の仕上材の構造が確認できない場合も同様に取り扱ってください。
なお、下地を含め不燃材で有効に仕上げをした部分、または、防熱板(取扱説明書に従って取り付けたもの)を設けた場合は、上の図に示すカッコ内の距離に緩和されます。
防熱板を設ける場合は、先に説明したガスコンロの防熱板の設置要領および取扱説明書に記載の注意事項に従って取り付けてください。
特定安全IH調理器に適合した機器の場合
特定安全IH調理器に適合した機器の場合は、防火上安全と確認された離隔距離が機器本体に表示されているので、その表示に従って設置することができます。

特定安全IH調理器の表示ラベルの例
レンジフード、コンロとその周囲は定期的に清掃してください
レンジフードの内部に油脂がたまっていると、換気能力が低下する場合があり、コンロやグリル内部に油脂が付着していると、着火して火災になるおそれがありますので清掃や周囲の整理整頓に努めてください。