毛染めに関する問題
毛染めは、髪の色を明るくしたり、白髪を黒く染めたりする等、年代や性別を問わず一般に広く行われていますが、消費者庁には毛染めによる皮膚障害の事例が毎年度200件程度登録されています。
皮膚障害の原因
毛染めによる皮膚障害の多くは、接触皮膚炎であり、その直接的な原因はヘアカラーリング剤といわれています。ヘアカラーリング剤の中でも酸化染毛剤は、特にアレルギー性接触皮膚炎を引き起こしやすいといわれています。
理容師及び美容師の方は、酸化染毛剤を用いる場合に次のことに注意してください。
- 施術前に染毛剤に関する情報や、アレルギーが起こる可能性があることを伝える。
- 顧客が過去に毛染めをしたときに異常を感じた経験がないか、健康状態などを確認する。
- 顧客にセルフテスト(染毛剤で毛染めをする前に、染毛剤に対するアレルギー反応を見る皮膚テスト)を実施してもらい、施術が適するかどうかを判断する。
- 酸化染毛剤を用いた施術が適さない場合には、別の種類の染毛剤を用いる。
酸化染毛剤やアレルギーの特性
- ヘアカラーリング剤の中では酸化染毛剤が最も広く使用されているが、主成分として酸化染料を含むため、染毛料等の他のカラーリング剤と比べてアレルギーを引き起こしやすい。
- 治療に30日以上を要する症例が見られるなど、人によっては、アレルギー性接触皮膚炎が日常生活に支障をきたすほど重篤化することがある。
- これまでに毛染めで異常を感じたことのない人であっても、継続的に毛染めを行ううちにアレルギー性接触皮膚炎になることがある。
- アレルギーの場合、一旦症状が治まっても、再度使用すれば発症し、次第に症状が重くなり、全身症状を呈することもある。
- 低年齢のうちに酸化染毛剤で毛染めを行い、酸化染料との接触回数が増加すると、アレルギーになるリスクが高まる可能性があると考えられる。
対応策等
- 消費者は、セルフテストを実施する際、以下の点に留意すべき。
- テスト液を塗った直後から30分程度の間及び48時間後の観察が必要(アレルギー性接触皮膚炎の場合、翌日以降に反応が現れる可能性が高いため、48時間後の観察も必要)。
- 絆創膏等で覆ってはならない(感作を促したり過度のアレルギー反応を引き起こしたりするおそれがあるため)。
- 酸化染毛剤を使用して、かゆみ、赤み、傷み等の異常を感じた場合は、アレルギー性接触皮膚炎の可能性があるため、消費者は、アレルゲンと考えられる酸化染毛剤の使用をやめる、医療機関を受診する等の適切な対応をとるべき。