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ホーム > 市政情報 > 施策・計画 > デジタル化の推進 > 地域のデジタル活用に関する取組紹介「デジタルトピック」 > デジタルトピックVol.10(市政だより令和6年11月発行分)【グラニューファーム】 > 【事業承継を見据えたデジタル活用事例】これまでの農業のイメージを壊したい!granyuu-farm(福島市)
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更新日:2024年12月24日
福島市にあるgranyuu-farm(グラニューファーム)は、市内では初めてとなる「アイメック農法」を導入したフルーツトマトの栽培で知られています。
多くの農家が後継者不足に悩む中、グラニューファームでは息子さんとその友人が農業に熱意を持って取り組もうとしています。
どうすれば若者に興味を持ってもらえ、農家の後継者を増やしていけるのか。そのヒントをお聞きしたいと、グラニューファームの佐藤正徳さんを訪ね、事業承継を見据えたスマート農業やデジタルの活用事例を伺いました。
——取り入れているアイメック農法とはどういうものですか?
佐藤正徳さん(以下、正徳さん):メビオール株式会社が開発した「アイメック®(外部サイトへリンク)」という特殊なフィルムの上で植物を栽培する、新しい農法の一つです。
この特殊フィルムの数ミクロンという細かい穴から、溶液が汗のように少しずつ染み出てきます。それを、トマトが生きるために一生懸命に根を張ってわずかな水分を吸い上げようとすることで、糖度が高くなり、また栄養を蓄えて美味しくなります。
溶液の流れる量や頻度、ハウス内の温度や二酸化炭素の濃度、日照の管理など、フルーツトマトの生育に必要なデータをセンサーで把握し、すべて自動で管理しています。
——フルーツトマトの栽培に取り組むきっかけは?
正徳さん:私が農家を継いだのは5年前です。それまでは普通にサラリーマンをしていましたが、父親の病気で果樹農家を継ぐことにしました。
しかし果樹の栽培だけでは、今後やっていけるかどうか自信がありませんでした。そこで、自分にできることは何か、これからの農家はどこを目指せばいいのかと考えて調べた結果、フルーツトマトをハウスで栽培するアイメック農法にたどり着いたんです。
「福島市で、新規就農してこの製法で栽培したい」と、神奈川県にある本社まで直談判に行きましたよ。
フルーツトマトの栽培はようやく去年からスタートすることができました。
ハウスを作るには資金が必要ですが、フルーツトマトのアイメック農法は県や市でも前例がなく、当時はなかなか理解してもらえませんでした。最終的にはすべて自分でやるしかなく、栽培が始められるようになるまで4年もかかりました。販路も自分で開拓しています。
——なぜフルーツトマトを選んだのですか?
正徳さん:果樹農家は一年中仕事はあっても、収穫のときしか収入がありません。そこで、年間通じて安定した収入が得られ、果樹との組み合わせがいいものはなにかと検討した結果、フルーツトマトが一番合っていると考えました。
もう一つの理由は、フルーツトマトは単価が高く、高付加価値商品であるということです。富裕層をターゲットにした商品を作りたかったんです。ミニトマトとフルーツトマトではだいたい3倍くらい価格が違います。
1年経って昨年収穫できて、食べてもらうと違いをわかってもらえます。おかげさまでかなり評判が良いですね。
贈答品がメインですので、パッケージや商品ロゴなど、すべて自分でデザインを考えました。すごく楽しいですし、そういう部分も魅力があります。
——ECでの販売以外に取扱店はありますか?
正徳さん:今は、道の駅のほか、近隣のセブンイレブン6店舗で取り扱ってもらっています。
ほかには、社長が福島出身で先輩というご縁もあり、東京を中心にDAZZLEやRIGORETTOなど有名レストランを経営する株式会社HUGE(ヒュージ)でもフルーツトマトを使ってもらっています。
さらに今年はもう2か所、販路を増やします。
——これから若い後継者の方を増やすにはどうしたらいいでしょうか
正徳さん:若い人に興味を持ってもらうためには、まず「かっこいい」というような良いイメージが重要です。私はこれまでの農家のイメージをぶち壊したかったんです。
東京以西では、若い人たちがグループで取り組んでいるようなハウス農家が多く、ユニフォームを揃えたりとお洒落で、見た目も綺麗なイメージがあります。
そしてハウス栽培なら、早ければ3か月後には収穫ができて収入になります。果樹は始めてから収穫できるまで1年2年はかかってしまい、その間収入はなく、出ていく一方。まずその時点で若い人は興味持ちませんよね。現実的でもありません。
まずは「やりたい」という気持ちにさせることでしょうか。若者の気持ちを変える、目を向けさせるというところから私はやってきました。
あと、農家の魅力は「自由」でしょうか。長かったサラリーマン生活から解放されて、時間の使い方がもう自分次第なんですよ。もちろん楽して怠けたらそのような結果になりますが、やればやっただけ良い結果となって返ってくる。本当に自分次第。農業にはそういう良さがあります。
——息子さんの立場から見てどう思っていますか?
佐藤夏洲さん:一番は、親父の掲げている「今までの農家のイメージを変える、ぶち壊す」という想いに、若者として惹かれるところがあります。
僕らの世代からすると、時間が自由に使えるというのも魅力がありますね。
あとは、すごく熱い気持ちを持って農業を手伝ってくれている同い年の友人(佐藤啓太さん)が身近にいるので、その影響も大きいです。
同じ福島市内の達磨農園さんのこともYouTubeで見て知っていました。若い世代で、しかも市内で、こんなにかっこよく農業をやっている人たちがいるんだと。近い年の人たちが活躍しているのを見るとやはり感化されます。
今はまだサラリーマンなので休日しか手伝えませんが、僕も準備が整い次第、農業に取り組む予定です。
——今後こうしていきたいという計画や夢は?
正徳さん:具体的にはもう少しハウスを増やしていきたいですね。そのためには人も増やして、ハウス1棟に担当を1人付けて、きちんと経営していきたいと考えています。そして、ゆくゆくは法人化したいですね。
中央・佐藤正徳さん(父)、左・佐藤夏洲さん(子)、右・佐藤啓太さん(夏洲さんの同級生)
granyuu-farm
住所:福島県福島市上野寺字道下47
電話:090-1934-8603
営業時間:午前9時〜午後6時
農業とともに趣味も充実。そんなかっこいい親父の背中を、息子はちゃんと見ていました。
今回の記事は、福島市デジタル人材バンクにも登録して活躍されている村上瑞恵さんに執筆していただきました。
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