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ホーム > まちづくり・環境 > 共創のまちづくり > 地域コミュニティ等支援事業 > 子どもたちの息吹と共に―大波住吉神社、伝統舞踊の再生と会長の熱い想い―
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更新日:2025年3月12日
静かに響く笛の音に誘われるように、ふと懐かしい祭りの情景が心に浮かぶ。
福島市大波地区に鎮座する大波住吉神社。ここには江戸時代から受け継がれる伝統舞踊、大波三匹獅子舞・鬼舞が息づいています。しかしその舞は、一度途絶えてしまいました。
台風災害とコロナ禍が重なり、4年もの間、舞台に灯りがともることはありませんでした。
そんな中、新たな風が地域に吹き込みます。子どもたちの笑顔とともに、地域の絆が舞を蘇らせる物語が再び始まったのです。
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大波住吉神社の例大祭が迫る中、地域の集会所から太鼓の音と笛の音色が聞こえます。
獅子役の子どもたち3人、道化役1人、子どもの太鼓奏者1人、そして笛を奏でる大人たち。練習に励む彼らの顔には、楽しさと同時に真剣な表情が浮かびます。
大波の伝統を支える新たな戦士
「橋かけは難しいけど、三拍子と六拍子を踊るのが楽しい」と語る子どもたち。それぞれが難しい動きの中に自分の得意な舞を見つけ、楽しみながら挑戦しています。
自分の立ち位置を確認しながら、真剣にそして時折笑顔を見せて舞うその姿からは、使命感を超えた楽しさや喜びが伺えます。
複雑な移動がある「橋かけ」
この舞は、台風災害と新型コロナウイルスにより開催が4年間途絶えました。
その間に獅子舞を担っていた子どもたちは成長し、中学生へと進学。さらに、長年獅子舞を支え続けた前会長が他界するという悲しい出来事もありました。
それでも舞を復活させたのは、現会長の佐藤哲夫氏の情熱と行動力でした。
伝統の継承を使命とし、新しい世代を育てるために奔走した佐藤会長。かつては特定地域の小学生の長男のみが参加していたこの舞も、地域を広げて新たな子どもたちを募ることで未来への道が切り開かれました。
日々子ども達の成長を感じる。当日は多くの方に拍手をしてもらえることが何より嬉しい。佐藤哲夫会長
しかし、さらなる試練がありました。伝統の核ともいえる笛の音色が、楽譜のないまま前会長の逝去とともに失われていたのです。
そんな中、過去の補助事業を通じて作成された一枚のDVDが希望の光となりました。
その映像をもとに練習を重ね、消えた音色の再現に成功したのです。「記録が伝統を未来へと繋いだ」と語る笛の奏者たち。その言葉には、地域の知恵と団結の力が感じられます。
DVDを参考に耳で覚え、指の動きも確認している
平成19年度ふるさと文化再興事業地域伝統文化伝承事業を活用したDVD
「普段から子どもたちに『おじちゃん、こんにちは!』と声をかけてもらえるのが何より嬉しい」と話す佐藤会長。その笑顔の奥には、地域文化の守るものとしての熱意が宿っています。
「私たち地域住民は、福島市の文化財を未来に引き継ぐ使命を担っている」。この言葉が示す通り、彼の情熱は地域全体に広がり、舞台の復活を支えています。
令和7年度には、福島市で行われる全国大会での舞の披露が予定されています。この舞台は、地域文化を全国に発信するだけでなく、子どもたちの成長や経験を深める貴重な機会となるでしょう。
時代の変化に合わせて柔軟に対応し、地域を広げて子どもたちを募るという柔軟性と挑戦が、大波三匹獅子舞の復活を支えました。
そして何より、子どもたちと楽しみながら続けていくこと。それが、佐藤会長にとって最大のやりがいであり、伝統を次世代に繋ぐ鍵となっています。
福島市では、地域の取り組みを地域コミュニティ支援事業を通じて応援しています。
―事業内容―
事業名 | 住吉神社三匹獅子舞・鬼舞保存事業 |
団体名 | 住吉神社三匹獅子舞・鬼舞保存会 |
期間 | 9月9日から2月28日まで |
主な事業費 | 講師謝礼 |
事業目的 | 大波住吉神社の三匹獅子舞・鬼舞の継承と伝統文化のPRを目指し、地域住民の協力を得て、子どもたちに舞の継承の機会を提供する。 これにより、地域の結束を深め、伝統芸能を後世に残すだけでなく、福島市で来年度開催される第46回国際キワニス日本地区年次総会福島大会での披露も行い、福島市の魅力を広く発信する。 |
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