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更新日:2017年3月1日
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奥州福島で毎年初めての生糸を売買する大市が開かれるのは六月十四日である。前日の六月十三日の夜から五~六里も遠方の百姓達が糸を持ち寄ってくる。夜の明けるのを待って、十四日の午前六時頃から糸市の売買が始り、午前十時ころまでには市が終わってしまう。わずか二時(ふたとき)(約四時間)ほどで、糸百駄前後の現金取引がある。この百駄の糸の目方は三千六百貫目ほどである。その代金はおよそ一万五、六千両である。ただし、金一両について浜付粉印の糸が約二百匁(もんめ)から二百三、四十匁で売買される。豊凶によって値段の高低がある。糸の売り手は数千人にもなる。
ところで、糸のよしあしを鑑定し、いちいち秤で目方をあらため、代金何両何分、銭何百文までと一人一人現金取引で売買して、しかもこのように大規模な市は諸国を見渡してもほかにはまったくないであろう。一日の市でさえこれだけの盛況である。毎月の福島や二本松の糸市のあきないでは、合わせて何千駄ともなる。なんと糸の多いことか。一駄の代金がおよそ百五十両から百六十両であることから、毎年奥州で生産される糸の量は莫大であり、その代金も数十万両となり、はかりがたい量である。ああ、こんなことをいっても、「隣の宝を数える」というお笑い草でしかない。
福島の天王祭り
初市の図 例年六月十四日
『日本農書全集 第35巻』より
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