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更新日:2023年12月19日
建築物や工作物の工事に着手(解体工事も含む)するときは、工事を始める前に、近隣の方々に工事内容等の説明をすることが非常に大切です。これだけのことをついうっかり忘れたために、思わぬいさかいを起こしかねません。
建築物等を建築するときや解体をするときには、特に騒音、振動、粉塵等について環境法令等に基づく届出や十分な対策を講じて工事をしましょう。工事の実施にあたっては、工事の名称、建築主、請負者、工事の予定期間などを、事前にお知らせするのが有効です。
一定規模以上の建築物の解体等にあたっては分別解体等及び再資源化等が義務付けられており、工事を始める日の7日前までに建設リサイクル法に基づく届出が必要となります。
建築物等を建築するときには、工事を始める前に、「建築確認申請」を提出し、建築基準法等の法的なチェックを受け、建築基準法や都市計画法等に適合していることを示す「確認済証」の交付を受けなければなりません。
工事に着手するときは、工事現場の見やすい位置に、建築基準法による建築確認があった旨(確認済み)を示す建築確認済表示板を設置する必要があります。
設置は施工者となりますが、建築主も工事現場に建築確認済表示板が設置されているか確認してください。
建築確認済表示板のほかに、「建設業の許可票」、「労災保険関係成立票」等の工事現場での標識等の掲示があります。
隣同士でトラブルが起きたときの『相隣関係(そうりんかんけい)』の問題はお互いの話し合いによって解決するのが原則です。
話し合いで解決しないときは、最終的に裁判などで解決しなければなりませんが、誠意ある話し合いで円満に解決されることが望まれます。
建築物等を建築するときには、建築基準法やその他の関係法令に適合する必要がありますが、所有権、通行権、日照の阻害、プライバシーの侵害などの各権利関係や、隣地建物からの雨水の流入、電波障害などの問題は、『相隣関係(そうりんかんけい)』、私法上の範囲として、公法上の規制である建築基準法とは別の問題で扱われます。
相隣関係(そうりんかんけい)とは、「隣接する不動産の所有者間において、通行、流水、排水、境界などの問題に関して相互の土地利用を円滑にするために、相互にその利用や機能を調整し合う関係」のことを言います。
建築物等を建築するときの法的規制としては、建築基準法や都市計画法等の『公法上の規制』と、民法による『私法上の規制』とに分けることができます。建築物等を建築するときの建築主と近隣との権利関係は、民法に規定されています。
公法上の規制を守っているからといって、私法上も問題ないとは限りません。
私法上の規制には、民法第234条(境界線からの距離)、民法第235条(目隠し)、民法第709条(不法行為責任)など相隣関係について利害調整を目的とした規定がありますが、こうした民法上の規定は建築確認申請における審査事項ではありません。
相隣問題は、市(行政)が指導したり介入したりすることはできませんので、これらの問題は当事者間で話し合いにより解決していただくことが基本となります。不幸にして話し合いがつかないときは、民事調停か、裁判によって解決することになります。
建築物等を建築するときの「建築確認申請」の審査は、民法の規定にかかわらず、建築基準法や都市計画法等に適合していることを確認できれば「確認済証」の交付が行なわれます。建築確認申請で審査される事項は、建築物の敷地、構造、設備及び用途に関する(技術上の)最低限の基準であり、建築行政を担当しているところへ、私法上の問題、相談が持ち込まれますが、建築基準関係規定以外の事由をもって、建築行政が建築計画や工事の停止を建築主側に求めることはできません。
建築物等を建築するときや解体をするときは、住宅、中高層建築物にかかわらず、近隣への配慮を充分にして、お互いが気持ち良く暮らせるように、ご計画ください。工事を始める前には近隣への挨拶や説明を、工事中は騒音や振動等の迷惑を可能な限り掛けないように心掛けることが大切となります。
この距離は、一般的に屋根の庇(ひさし)などからではなく、「外壁からの距離」と考えられています。この規定による間隔は、相隣者の間で協議し合意すれば、狭くすることもできます。
この規定はあくまでも民法上の規定であり、建築基準法上は特に規定されていません。また、建築基準法第65条には、都市計画法に定める防火地域、準防火地域内にある建築物で、外壁が耐火構造のものは、外壁を境界線に接して設けることができる規定があります。最判平成元年9月19日「建築基準法65条の規定は、民法第234条第1項の規定が排除される旨を定めたもの(境界線より50センチメートルの間隔を置く必要はない)」
この規定に反して建築物を建築しようとする者がいるときは、隣の土地の所有者は、その建築を止めさせ、又は変更させることができます。(民法第234条第2項本文)申し入れを無視して建築が進むようであれば、建築工事の「差止め」を求め裁判所に申請することができます。ただし、建築に着手してから1年以上たったとき、又はその建築が完成してしまった後では、中止、変更の請求はできず、損害賠償の請求しかできません。(民法第234条第2項ただし書)また、この規定と異なった慣習があるときは、その慣習に従います。(民法第236条)
なお、井戸等を掘る場合は、境界線から2メートル以上、また、池等を掘る場合は、1メートル以上の距離が必要となります。(民法第237条)
この規定の距離は、窓または縁側の最も隣地に近い点から直角に測って境界線に達するまでを計算します。(民法第235条第2項)また、この規定と異なった慣習があるときは、その慣習に従います。(民法第236条)
境界は、連続している土地を区分するもので、図面上はもとより、現地でも明らかにする必要があります。境界は通常、当事者が立ち会って、双方が納得いく地点で定まります。境界線を示すために用いられるものを「界標(境界標)」といい、境界を示す目印となります。境界標は、双方の土地の範囲を明確にするためのものであり、簡単に移動できないものが望ましく、境界を明示できるものでなくてはなりません。隣地の土地所有者の承諾なく界標を設置したり、界標杭を打つことはできません。界標は、隣地所有者と共同の費用で設置することができます。境界標の設置及び維持の費用は、相隣者が、平等に負担します。ただし、測量のための費用は、それぞれの所有する土地の広さに応じて負担します。(民法第224条)また、境界標を損壊、移動、除去等により、境界を確認できないようにした者は、刑法により罰せられることがあります。(刑法第262条の2)
境界標がなくなると、後で境界紛争の元になりますから、工事前後にお互いが確認することが大切です。境界が不明な場合、境界標があっても争いがある場合は、まず当事者同士の話し合いが大切です。お互いに真実の境界はどこであるか、相互に資料を持ちよるなど調査をして、お互いに納得のいく境界の発見方法をとることが望まれます。なお、双方で協議をしても合意できない場合は、裁判によって解決することになります。
木の枝が越境してきて日常生活に支障があるような場合に、切り取らせるよう求めることができますが、竹木の所有者の承諾無しでは切り取ることはできません。ただし、次のような場合には、土地の所有者は、その枝を切り取ることができます。【2023年4月1日民法施行】
また、竹木が数人の共有に属するときは、各共有者は、その枝を切り取ることができます。【2023年4月1日民法施行】
土地の所有者は、隣地の竹木の根が境界線を越えるときは、その根を切り取ることができます。(民法第233条第4項)【2023年4月1日民法改正】
木の根を切り取ってしまうことは、木に悪影響を及ぼす恐れがありますので、竹木の所有者に、移植を検討させることなどの方法もあります。
隣の土地との境界又はその付近に、塀や建物の建築、修繕等をする場合や生け垣等の枝の越境部分を切除する場合には、作業や足場、重機の稼働のため、必要な範囲で隣の土地の使用をせざるを得ないときがあります。民法では「隣地を使用できる場合」について、一定の場合が明記され、かつ、具体的な行使方法が定められ、行使方法に従えば、承諾を得られなくても隣地を使用できることになります。【2023年4月1日民法施行】
隣地の所有者と仲が悪かったり、隣地が所有者不明であったりすると、承諾を得ることはできず、裁判によって解決することになります。
「住家」とは、現に人が住む家屋のことです。「住家」の立ち入りは、承諾がなければ立ち入りはできません。住居建物に立ち入る必要がある場合には、必ずその住人(土地所有者ではなく建物の住人)の承諾を得なければなりません。
公道には、公衆が自由に通行できる私道も含みます。東京高判昭和48年3月6日「相当程度の幅員をもっていて自由、安全、容易に通行できる通路を公路という」
囲繞地通行権は、袋地と囲繞地の各土地の沿革、袋地を生ずるにいたった経緯、従前の通路及び実際に行われてきた通行の状況、現在の通路及び通行の実状、各土地の地形的、位置的な状況、相隣地利用者の利害損失など諸般の事情を考慮し、具体的な事情に応じて、最も適当な通行範囲を定めるべきものであると考えられます。また、囲繞地通行権の主張と建築基準法所定の接道要件は、隣接する土地の利用の調整を目的とする私法たる民法と避難、通行の安全という公法上の観点から規制をする建築基準法とでは、その趣旨、目的等が異なるため、私法と公法を峻別する必要があると考えられます。
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